高野宮子(7)

今回は『愛の人』新書館 です。
フラワーガーデンの次に買ったのかなぁ。

高野さんの、優しい懐の広さを教えてくれる作品。
 
どの話も現代日本で、なんだかんだ毎日暮らしてる人達が主人公です。
高校生やアパレルのお姉ちゃんや…職業不詳の人もいますが。やはりモノローグが秀逸。
ところどころに、海・プータロー・都会という高野さんワールドが展開されています。
男と女だけでなく、男と男、女と女、兄と妹(血は繋がってないけど)という他の単行本ではみられないすげぇ話もあります。サウスすげぇ!!(私の中ではどちらかというと新書館自体がBL寄りな出版社…)

愛の人は全部で7作ある短編のうちの1作のタイトルです。
心優しい高校生恒介は、ほんとに良い奴で、世の中の誰かを救うためなら、なんだってできてしまうような人だ。
救世主のような現実離れしたことじゃなくて、どこかにいる誰かのために何でもしてやりたい思ってしまう純粋な人だ。
そんな恒介が心配な奈良橋と栞。周りや先生たちは呆れながらも温かく見守っている。
そして恒介は、進路を選ぶ時、やはり自分のやるべきこと、すべきことを考えてしまうのだ。
 
最近、ハートキャッチプリキュアが最終回を迎えました。
スト2話は神回でした。挿入歌が流れながらの戦闘、ブロッサムの危機に現れるマリン。
泣くわこれわ!!
結局全話観ちゃいましたよ。おジャ魔女パワーこわし!
そんで、最終回で最後の戦いが終わって平和な日常が戻った頃、エリカが言うのです。
「わったしたちってさーすっごいよね!!だって全能の愛で世界を守っちゃったんだよ?弱冠14才でさ!愛の力で!こんなすごいことしでかしちゃって、これからこれ以上のこと、どうしようね?」(だいたいこんな感じ)
もちろんその後ユリさんに「バカね」みたいな感じであしらわれて(しかもエリカは毎日言っていたらしい)、四人がそれぞれ自分の今後の目標を掲げるのですが。
 
かけ離れた物語を比較して何を言いたいかというと、もっと私たちって、愛の力を自己評価したっていいと思うんです。フィクションならなおさら。
そんで自分で頑張れる人は、他の人のためにも頑張っちゃっていいんだと思います。
(空回りと自己犠牲はまた違うけども…)
何も野心とか下心とかトラウマとかのない、阿呆な形でいいから。
 
恒介は愛の人だから。
恒介のなりふり構わない頑張りと彼の進路が心配で仕方のない栞に、奈良橋が言います。
大きい愛の人だから。
今回のプリキュアも、大きい愛の人たちでした。
花のような。栞は恒介のことをこう表したけど、プリキュアたちもまさに花のような女の子たちでした。
 
愛って花のようなものなのかもしれません。
 
近頃、作品単体で楽しめなくなってきていて(もちろん楽しんでるけど!)、それが悪い大人になっちゃった気がします。
高野さん作品も、次でラストです。無頼猫です。