高野宮子(8)

『無頼猫』新書館→ジャイブ

無頼猫 新装版 (ピュアフルコミックス)

無頼猫 新装版 (ピュアフルコミックス)

無頼猫 (ウィングス・コミックス)

無頼猫 (ウィングス・コミックス)

無頼猫 (2) (ウィングス・コミックス)

無頼猫 (2) (ウィングス・コミックス)

ちょ、新装版が出るんですか!!記事にするとき初めて知ったよ!!!
2月3月、最高についてるわ・・・・・・!
擬人化された猫の話です。私は大島弓子さんの綿の国星も好きですが、高野宮子さんの無頼猫も、そちらに負けてないくらいのクオリティがあると思います。
シロボシの無頼な生き方、彼を守ってやりたいとするあやの瑞々しい生命力。出会う猫たちの見つめている、狭いけれど真っすぐな世界。
どれも芯があって(覚悟があって)清々しい話なんです。
 
場面は江戸時代ぽい雰囲気で、猫はみんな和服です。しかも刀が爪ときたぜ!浮浪雲ばりの着流しに刀!!あやのミニミニの裙丈もそそります。
 
主人公であるあやの成長は、シロボシとの出会いをきっかけに、一・二巻の全話を通して語られます。
人間のことを過度に恐れてもいないし、ひねた思いを抱いているわけでも、バカにしているでもない。愛情をかけてくれる飼い主に、心配をかけまいとするあやの姿は、健気です。
そしてあやは運命を感じたシロボシに焦がれていく。(猫って仕事なくていいよね)
二人がいちゃいちゃじゃれている様子がいい。娘猫って表現もまたいい。
一巻だけでも満足できるし、二巻も読むとホッとする。絶妙な展開具合というすごい作品です!!
以下はちょっと熱が入りすぎたのでたたみます。
一巻は読み切りの短編も載っていて、それもまたいいのです。
 
その短編の一つ、ルーシーインザスカイはビートルズのルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ(Lucy in the Sky with Diamonds)へのオマージュです。
南の島に、空から突然現れたルーシー。その人物は、地球の子供を生むために宇宙からやってきたのだという。
 
そんな発想でくるとは!
ビートルズと人類最初の女性といわれるルーシーの発掘、どっちが先なの?と調べたら、この曲にあやかってルーシーと名付けられたらしいです。(Wikipediaより)そうなんだ〜。ビートルズすごいな。
 
内容は超SF。近未来とか科学技術とかそんなもんじゃない話です。世界の不思議(これもSF!)。人ひとりの感覚よりも長いスパンで存在する存在の物語という意味で、私が他に知ってるそれ系の話といったらエマノンしかないです。
しかもとんでもな設定なのに、ちゃんと最後までまとまってるんですよ!ほんっと短編の魔術師だと思うわ〜。
 
もちろん、もしかするとどこからかインスピレーションを受けた作品なのかもしれない。いきなり作品がメジャーになったら、とたんに誰かが○○のパクりだ!と言いだすのかもしれない。(今の世の中ってやーね)
だけどあの時代、あの形で世に出たということは、とても意味があることだと思うのです。
 
南の島の美しさと、ケイジの奏でる音楽が、ルーシーの心を満たす。そしてルーシーは新しい命を宿してまた旅に出る。
これは、すべての人にワンスモアを与えてくれる物語なのです。
(一番のミソはルーシーの外見が男性で、女性の形にもなれるところ…か…?)
 
母のレコードがなければ、ビートルズにそんな曲があるなんて知ることはなかったと思います。
当時のレコードの解説に、この曲名の単語の頭文字を並べると、LSDになることから、狙って曲名をつけたのかと放送禁止をくらったこともある、と書いてありました。そんなわけでタイトルが印象に残ってたんだな。
(ジョンは自分の息子からインスピレーションを受けたみたいですね)
 
私は宇宙人はいる派です。幽霊も妖怪もいる派です。あいにくどれも見たことありませんが、おかげで何でもありな楽しい人生を歩んでいます。
すこしふしぎなモノが存在する余地を、自分の中に持ってると(それを公言しなくてもね)、わりと愉快に生きていけると思います。
 
そのことを表現できるって、漫画家さんはすごい仕事だ!!
漫画家は夢を与える仕事だと蒼樹さん(バクマン。アニメしか見てない…その先に挫折はあったのかしら)は言ってましたが、そうだよね〜と思います。
そして、そんな夢のある漫画家さんは、長編よりも短編で生きてるんじゃないかなぁと、そんでもっと短編自体も評価されてもいんじゃないかと思います。
続きがなくてもいいじゃない。余韻があればいいじゃない。高野さんみたいな作品があって、私は生きていける。
人気が出るからって、連載でがんじがらめにされちゃ困るんだー!と声を高くして言いたい。
 
今までいろいろ言ってきましたが、これで高野宮子さんの作品に対する拙いレビューは幕となります。
感情移入をしまくって所々キモいところもありましたが、おかげで書きそびれたところはないと思います。
これ以上書きすぎるとほんっと人間的にヤバいので!おしまいおしまい〜〜!!
 
次は紺野キタさんか、野沢尚さんですね。迷う!