夕凪の街 桜の国

こうの史代作 夕凪の街 桜の国

平成16年度の文化庁メディア芸術祭で大賞を受賞した作品。
手に取ったきっかけは、ノミネートされた後で受賞作品を調べていて、
つい最近に知ったところ、書店で短編なんだ!とはじめて気づいたからです。
長編だったら読んでなかった…。
平成21年に読んだ中のベストです。
映画化もしています。夕凪の街と、桜の国(1)(2)という3つの短編が、
一つの作品としてまとまっているので、映画化しやすかったんだろうなぁと思います。
いつか観てみよう。

ストーリー
夕凪の街 終戦後の広島で、原爆を経験した女性《皆実》が主人公となった昭和30年の物語
桜の国(1) 彼女の姪に当たる《七波》の小学生の物語
桜の国(2) 七波の大人になってからの現代の物語

あっさりとした絵柄のなかの強烈なメッセージ性、そして容赦のない展開に悲しくなりました。
けれど、登場人物たちの安らいだ表情が、読後のやり場のない怒りを優しく受け止めてくれる。

巻末の作者による解説も作品の完成度を高めています。
皆実の「うれしい?」というモノローグへの作者の思いを感じ取りたいです。